歯並びが悪いと、歯みがきがしにくくてむし歯になりやすくなったり、歯並びの悪さがコンプレックスになって、本来の明るい笑顔が見られなくなってしまったりすることもあります。子どものうちに矯正を行なえば期間が短くすみ、肉体的、精神的、経済的な負担が少なくて済むことがあります。大人になってからでも、矯正をすることができます。下のような歯並びが気になるようでしたら、一度ご相談にいらしてください。

上顎前突(じょうがくぜんとつ)
上顎前突一般的に出っ歯などと呼ばれてます。上の前歯や上あごの骨が前に出ている状態や、(上あごが出ているのではなく)下あごが後ろに入ってしまっている状態、あるいはその両方が同時に起きている状態を、上顎前突(じょうがくぜんとつ)といいます。笑うと前歯の歯ぐきが出てしまうガミースマイルになる場合もあります。
反対咬合(はんたいこうごう)
反対咬合下顎前突と呼ばれることもありますが、一般に受け口とも呼ばれています。下の前歯が上の前歯より前にある状態です。外側からは、下の唇が出ているように見えたり、下唇が厚く見えたりします。また、下の前歯や唇を無理に唇内に閉じ込めようとして、頬が緊張しているように見える場合もあります。
開咬(かいこう)
開咬奥歯をかんだ時に前歯がかみ合わず、開いている状態を開咬と言います。指しゃぶりや舌を出すクセがあったり、遺伝などが原因でなることがあります。前歯で食べ物をかみ切れなかったり、話すときに正しい発音ができない場合もあります。
叢生(そうせい)
叢生歯がでこぼこに並んでいる状態で、乱ぐい歯とも言われます。八重歯も叢生(そうせい)の一種です。あごの広さと歯の大きさのバランスが悪いため、狭いあごに歯がきれいに並ばず、でこぼこに重なりあってしまいます。

3才児からの受け口治療 反対咬合用オーラルシールド『ムーシールド』

出っ歯とは逆に、下の歯が上よりも前に出る「受け口」(反対咬合)の治療法です。
受け口は、審美的な問題だけでなく、前歯でうまく咬みきれなかったり、歯のすき間から息が漏れて正しく発音できなくなるなどの障害も起きるだけに、放置は禁物です。2才で受け口だった子供さんの半数は自然治癒しますが、3才になると治癒率は6%に下がるという研究結果が出ています。

特に、下の前歯6本すべてが上の歯より前に出ている場合は、ほとんど自然治癒することはなく早期治療が必要です。ところが低年齢児に対応できる治療法が今まではあまりありませんでした。3才児健診で相談しても「とりあえず様子を見ましょう」と言う返事が多かったと思います。

そこで研究開発されてきたものが、ムーシールドと呼ばれる、マウスピース状の受け口改善装置です。受け口の場合、遺伝的要因もありますが、口の周りの筋機能がバランスを崩し、舌が下の歯の内側から押す為に下あごの成長が促されてしまう事が原因とされています。この装置は、そんな筋機能を正常な状態に戻し、歯並びを整えるために,就寝時のみ口の中に装着するように開発された装置です。

1年間をめどに日常生活に影響のない就寝時のみ、くわえるだけという、この装置で3才児からの早期治療が可能になりました。お子さんのかみ合わせが気になる方は、お気軽にご相談ください。

一本一本きちんとパックされた形状記憶合金ワイヤーを使用しています。
故日本大学松戸歯学部助教授 青島 攻先生より頂いたサーテイフィケート
元日本歯科大学新潟歯学部矯正学教室講師 宮井 敏先生より頂いたサーテイフィケート

床矯正

「床矯正」は「しょうきょうせい」と読みます。床というのは入れ歯のことで、床矯正は、入れ歯によく似た装置で矯正治療を行います。床矯正の装置は、歯を移動させて歯並びを整える治療と、舌などのお口の機能を改善する治療の、二つの矯正治療を行なう目的で使われます。

患者さん本人やお父さんお母さんが、子どもの歯並びの悪さに気付かれるのは、大体6~7歳ごろです。この時期に、上下の前歯が重なって生えてくるからです。最近の子どもはあごが小さくなったと言われますが、その影響で、並びきれない歯が重なってしまうのです。ですから、かたいものをよくかんであごを成長させるか、床装置であごのスペースを拡大すれば、歯がきれいに並ぶようになります。

6~7歳の段階であごが小さいことが分かったときにすぐに床矯正をしておけば、お子さんの負担も、親御さんの経済的な負担も軽くて済みます。「様子を見る」と言ってそのまま放置しておくと、9歳を過ぎたころになって犬歯の生えるスペースがなくなってしまい、複雑な歯列になってしまいます。そうなってからの治療は、当然負担が大きくなります。

子どもは、10代中ごろまでが成長期です。この時期にあごの骨を正しく発育させ、正しい歯並びで歯を正しく機能させるようにしていかなくてはいけません。

一般に、矯正治療では歯を並べるスペースを作るために抜歯をすることがありますが、成長途中の子どもの場合は、歯に合うあごに成長させるか、治療であごを拡大すれば、大切な歯を抜かなくても歯を並べることができる場合が多いといえます。ただし、拡大にも限界があります。どうしても無理な場合は抜歯せざるを得ない場合もあります。

単に歯がきれいに並べばいいという視点で治療をしたり、成長途中で抜歯してしまうと、あごの筋肉や口とその周りのバランスを崩す危険性があります。床矯正は、あごを拡大する非常に合理的な治療です。歯を並べるためだけでなく、舌や口の周りの筋肉も正しく機能するように治療していきます。

(成人の矯正の場合は、顎関節症との兼ね合いで抜歯を選択することがあります。また、成人はあごの成長が終わっていますから、床矯正の方が負担が大きい場合には、抜歯をすることもあります。)

床矯正と抜歯矯正の比較

床矯正抜歯矯正(ワイヤー矯正)
矯正スペースの作り方床矯正治療は、歯の重なりをなくすために最適なスペースを作ることができます。歯の重なりをなくすために必要なスペースを確実に作ることができますが、抜歯をしてあいたスペースと、歯の重なりをなくすために必要なスペースが、必ずしも一致しない場合があります。(スペースに余裕がありすぎたり、あと少しスペースが足りなかったり等…)
あごの成長4歳~10歳から矯正治療を開始すれば、あごや顔の成長を促すことができます。あごの成長が終わる前に抜歯矯正をしてしまうと、あごや顔の筋肉を成長させることが難しくなります。
取り外し床矯正装置は入れ歯に似た装置です。患者さんの都合によって、学校に行く間や写真撮影があるとき、発表会のときなど、好きなときに装置を取り外すことができます。基本的に、ワイヤーを取り外すことはできません。
むし歯のなりやすさ床矯正装置は、歯を磨くときに取り外すことができるので、口の中を清潔に保ちやすいです。ワイヤー矯正は装置をつけたままなので、むし歯になりやすいと言えます。
注意点取り外しができるために、床矯正装置をなくしてしまわないように気をつけていただくこと、1日12時間以上装着していただくことなどの協力が必要です。むし歯になりやすいので、歯みがき、フロス、歯間ブラシなどでしっかりとお手入れをしてください。

舌側矯正

舌側矯正とは1本1本の歯の裏側に直接装置を付け、その装置に針金を通し、針金を調節したり交換したりすることによって、歯を動かし、噛み合わせを治してゆく治療です。その結果表側からは装置も針金も見えませんので周りに気付かれることなく、治療を進めてゆくことができます。

舌側矯正のメリット

●矯正装置がみえない
第一のメリットです。モデル、接客業、営業職など、目立つ矯正装置をつけることが不可能な方、また矯正治療をより審美的に受けたい方々には大きなメリットです。この方法がなければ、矯正治療を受けられない方々も数多くいらっしゃいます。
●歯の表側のエナメル質へのダメージがない
舌側矯正治療は、名称のとうり舌のある裏側から矯正装置をつけて行なう方法です。矯正治療では表からでも裏からでも、ワイヤーを入れるブラケットというレールを歯に接着いたしますが、場合によりこの操作によって、接着部分のエナメル質の光沢が減ることがあります。裏側からの場合は、見えない部分のエナメル質に接着することとなりますので、治療後に表側のエナメル質には、なんら影響はでません。
●虫歯のリスクが低い(常に装置が唾液で洗浄されているため)
舌側矯正は虫歯になりにくい。意外な感がありますが、歯の裏側は、常に装置が唾液で洗浄されているため虫歯のリスクは少ないことが、いわれております。口腔内の唾液のでる穴は、歯の裏側の歯肉の部分に非常に多くみられ、舌の動く効果と相乗して、矯正装置についたよごれを洗浄するものと考えられております。しかしながら、歯ブラシ等のよる清掃も必ず必要であることは変わりません。

舌側矯正のデメリット

●装置セット当初は、発音しにくい
装置を舌側につけますと、舌を歯の裏側にあてて発音する言葉が若干不明瞭となることがあります。日本語では、さ行、た行、ら行の言葉、英語ですと、Th、またLとRの発音に影響がでるようです。しかしながら、ほとんどのケースの場合、1~2ヶ月の間に発音のしかたに慣れてきて通常どうりお話ができるようになります。
●費用が割高である
基本的に、裏側からの矯正治療は、表側からに比べて費用は割高になります。理由として、材料が比較的高価であり、高度な研修と治療技術が必要であること、ブラケットの取り付け位置決めに特殊な作業が必要であること、ワイヤー交換などの処置時間が長くなることなどが大きな理由としてあげられます。

正面から見るとほとんど装置はみえません。
しかし口を開けると装置が装着されています。
フジタメソッドの開発者鶴見大学 藤田欣也教授より頂いたサーティフィケート